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[行ってきました演奏会] ヴァーレスク・プラハ放響ほか〔堀 真典/1995.1.21〕

 芸術の秋だから、というのでもないのだが、この11月('94)、僕は五つもの演奏会に出かけることになった。そのうち、ブラームス交響曲第一番(朝比奈/大フィル)については当通信第39号を参照、郡山高校・休日の演奏会については浦野氏に聞いてください。では、残りの三つの演奏会の感想です。

[1]スメタナ:我が祖国〜ヴァーレク/プラハ放響

 よくよく考えてみると、今まで日本で外国オケを聴きに行ったことはなかったのか、と思ったら、ブリュッヘン/18世紀オケを聴きに行ったことを思い出した。昨年の海外旅行中に聴いた外国オケは特にうまさを感じなかった(とはいってもやっぱりうまかった)のだが、今回はうまさが際立った。各楽器の音色の良さ。こういうことは言葉では表現し難い。しかし、何とうまいのだろう。土が違うのか、水が違うのか、空気が違うのか。指揮者はチェコで最も注目されている指揮者のひとり、ということで、棒のテクニックは素晴らしい。うまい。かっこいい。しかし「かつこいい」指揮姿からは「かっこいい」音楽しか出てこない。大変勉強になった。

[2]仲道郁代/ピアノ・リサイタル

 よくよく考えてみると、ザ・カレッジ・オペラハウスに行くのは初めてだ。お客さんは大阪音大の学生であろう女の子でいっぱい。

モーツァルト/トルコ行進曲付き

 後ろに座ってた女の子。「ノーミスや。すごいなあ。」
がくっ。おまえ何を聴いとんじゃ。
 繰り返しが少々だるかった。全体的にもう少し、勢いと力強さが欲しいところだが、またその辺が郁代ちゃんらしい。

シューマン/幻想小曲集

 「夕べに」「飛翔」「なぜに」「気紛れ」「夜に」「寓話」「夢のもつれ」「歌の終わり」の八曲よりなる。
 「夕べに生まれるひそやかな情緒、しかし、それゆえに高揚し、問いかけ、揺れる気持ちもまた生まれて…。そのうち、いつしか『夜に』なり、シューマンが自らの音楽の中に気付く、愛の神話。あるいは童話。つづく生き生きとした夢は現か幻か。そして迎えるファンタジーの終焉…。」(プログラムより) たいへんよい感じである。たいへんよい曲である。

ショパン/ポロネーズ(五曲)

 ショパンらしく楽しくかろやか、かつ派手で結構。

[アンコール]
子犬のワルツ…快速。心地よいピアノである。
愛の挨拶…ピアノだけど、こんなにちゃかちゃかした曲なんか、と思う。

 以上、総括して、悪く言えばメリハリに欠ける。良く言えば落ち着いた大人の表現。それが仲道郁代らしさ、といえよう。それにしても、ピアノという楽器は人によってこんなにも音色が変わってしまうのか、といつもながら驚く。

[3]メータ/イスラエル・フィル

 よくよく考えてみると、京都会館に来たのは、関西吹奏楽コンクールに出た高校二年生以来だ。

ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲

 僕が大学二回生のとき棒振った曲だ。僕のほうがよかった。ほかはともかく中身の問題だ。もちろん僕のほうが棒の振り方がうまい、という意味ではない。それにしてもよく勉強になる。

ラヴェル/ラ・ヴァルス

 こういった感じの曲はうまい棒、うまいオケに限る。逆に言えば、下手な棒、下手なオケでは聴けない。とはいえ、そんな棒・オケのほうがおもしろいこともあるのは不思議だ。

マーラー/交響曲第一番

 トランペットのファンファーレはさすがである。というか、みんなうまい。第二楽章のメロディーが始まったと思ったら、終わっていた。すかー、と眠りに落ち込んだようだ。もひとつ良くわからん曲だ。

[アンコール]
リムスキー・コルサコフ作曲、スペイン奇想曲より
  「情景とジプシーの歌」「ファンダンゴ」

前者は金管、打楽器によるファンファーレの後、コンマス氏のソロ。我らがコンマス田中氏のほうが迫力があって良い。後者ではファーストVn.とセカンドVn.の掛け合いで、セカンドが全然きこえてこないのにびっくり。京都会館の音響の悪さのせいだろうか?それにしても大変うまいオケであり、大変うまい指揮者である。感心する。

 「きれいであってはならない。うまくあってはならない。心地よくあってはならない。ほんとうの美とは、きれいとか、うまいとか、心地よいなどとは反対のものなのです。」岡本太郎の言葉である。そういえば、あの太陽の塔はどうだろう。昔は、なんじゃあのへんなものは、と思っていたが、今さらながら、何かすごいものを感じる。
 「料理は力や。きれいなだけでは叱られます。」がんこ寿司のCMである。芸術も同じなのではなかろうか。ただきれいなだけ、ではだめなのだ。今回は一流の外国オケの演奏に接して大変勉強になった。

(アンサンブル通信 1995.1.21/第46号より)

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