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インサイド・フロイント

アンサンブルを作る…Vn.西内氏の場合〔西内武司/1999.10〕

…ML投稿文に加筆 

「アンサンブルを作る・続編」に思いもよらず登場してしまいました.大石さんの一連のシリーズが終わったようなので,「当事者の一人」のフォローを一応入れておきましょう.

1.フロイントとの出会い.

私がフロイントに初めて参加したのは昨年の2月末,フロイントの公開演奏会の直前でした.学生時代の友人に紹介していただいて「見学したい」と申し出たところ「是非楽器持ってきて下さいね」とのこと.

お言葉に甘えて楽器を持って「みんなすごく上手なんだろうな,落ちこぼれないだろうか?」などど半ば緊張しながら大フィル会館に着いたのを覚えています.

大フィル会館の練習場3の扉を開けたところ,この団を紹介してくれたDさん,団長の大友さん,他何人かの方が,楽器を練習しておられました.

Dさんの紹介で大友さんにご挨拶したとき,大友さん曰く,

「今日やってみて気に入ったら続けてきてくれたらいいし,気に入らなくても別に断りの連絡とかもしないでいいからね」

だれかが「そんなあっさりと...」と言うと大友さん.

「来るものは拒まず,去るものは追わずや」

と言うわけでとにもかくにもその日の練習に参加することになりました.

段々メンバーが集まってきて「そろそろ合奏しようか」となり,モーツァルト40番の準備をみんなが始めたとき,コンマスNa氏が私にこう一言.

「今日はとりあえずトップサイドで弾いてもらえます?」
「ええ〜〜っ?!」

「こりゃ大変,40番はやったことないのに...」等と焦っているうちに席が準備され,1stのトップサイドに座る羽目に.

そう言うわけで,必死に楽譜にかじりついて終わってしまった初日だったのでした.

2.公開演奏会

フロイントに初めて参加してから数日後,コンマス中川氏から突然の電話.
「今度の公開演奏会にいっしょに出ませんか?」
「えっ,でも私もう本番当日まで練習に行けませんよ」と言ったのですが,

「全然大丈夫だと思うし,なんとかなるでしょう」とのこと.
「ええんかいな?」と思いつつ出演を承諾してしまったのでした.

公開演奏会のリハは大フィル会館でありました.

小西さんの指揮も前回の練習が初めて.その時は「個性的な指揮者だなあ」という,ただそれだけの印象でした.

しかしリハで彼が発したある一言で見方が変わりました.それは40番の2楽章のリハーサルが始まる前の出来事.

「今日初めて言うと思いますが,私がつけた2楽章のサブタイトルがありまして,それは『宇宙のさんぽ』...」

「おおっ,そうか!」この瞬間に私の中でそれまで明確でなかった2楽章のイメージが一気に膨らみました.

「すごい,たった一言で,彼は自分がやりたい音楽の世界を表現してしまった,ただ者では無いぞ」という印象を強く感じた瞬間でした.

そんなこんなでリハーサルも終わり,守口に移動して演奏会本番.練習不足でついていくのが精一杯だったのですが,弾いていて非常に楽しかったのを覚えています.

そして,演奏会終了.その後は打ち上げに突入.打ち上げでは,私が学生オケ時代にお世話になった先輩がたをはじめ,多くの人といろんな話をしました.その中ですでに赤ら顔のマネージャー大石さんがこんな話をしてくれました.

「僕は毎回の練習を充実させたいんですよ.だって,みんな社会人の忙しい日常を持っていて,貴重な休日の貴重な何時間かをフロイントに使っているんだから」

この一言は本当に納得でした.通っている大学と違う大学のオケに参加していた私にとって,「練習そのものが充実している」ときの「ああ,今日は無理してでも練習に来てよかったな」と言うことが,「また参加しよう」というモチベーションにつながることをおぼろげに感じていたからです.

3.参加表明

そんなこんなで,たった2回の活動でいろんな「名言」に触れた私は,「この団はなんかよくわからんけどなかなか面白そうだ.しばらく続けて参加してみよう.いやになったらからと言ってやめても追いかけられたりしなさそうだし,そう言う意味で気も楽やしな」
と言うわけで演奏会のあと,何週間かして再び練習に顔を出すことになりました.

大友さんがおられたので,
「しばらく参加してみようと思うのですが,団費の方はどうしたらいいのでしょうか?」と,きいたところ,
「おお,グッドタイミングや!」
と,その日発行されたふろいんと通信をくれました.そこに書かれていたのが,会計Oさんの「通達」だったわけです.

それを読んで,個人的には「すごい団体だ」と思いました.打ち上げで大石さんがで言われていた「『社会人は忙しい』と言うことを団として尊重する」システムであると思ったからです.

大石さんが「アンサンブルを作る・続編」で書かれていたように「毎回練習に参加する人」「毎回練習に早く来る人」が,「時々しか練習に参加できない人」「毎回練習に遅く来る人」より団を愛しているというのはおかしなことだと言うのは全くその通りだと思います.そう考えるのは,私が学生時代「毎回練習に遅くしか来れない」人だったからです.

先にも書いたとおり,「他大学のオケ」に参加していた私には,授業をきっちりこなすと,どう考えてもオープニングの練習には間に合いません.へたすれば3時間ある練習のうち1時間ぐらいしか出れない.
そうなったときに「あ,もう今日は行くのやめとこう」ではなく「その1時間だけでも参加したい」という気持ちをずっと持って活動していたし,卒業後もそう言う気持ちをすごく大切にしたいと思っていたからです.

Oさんの「通達」には,そういう考えを「団として尊重する」と言うことが感じられ,大変感激したのです.

(ちなみに私が友人にフロイントのことを説明するときに団費のことを必ず言っています)

4.その後の活動で感じた「フロイント」

そんなこんなで,かれこれ1年半あまりがたちました,その間,メーリングリストでいろいろと「議論」したり,合宿に参加したり,有志で鍋をしたりと楽しい時間をメンバーと過ごしています(もちろん毎週の活動も可能な限り参加しています).

1年半たって,この団を見つめてみると,上で書いたこと以外に「すごいな」と思っていることがいくつかあります.そのなかで特筆すべきこととしては,

1.ゲストが多い
2.アマチュアオケでありがちな派閥のようなものがない

と言うことが挙げられます.

大石さんの「アンサンブルを作る・続編」のきっかけとなった1のことをメーリングリスト書いたときにイメージしていたのは,「演奏会のための練習をしないからこそ,ゲストが気軽に参加できる」と言うものでした.

上で書いたように私が初めて参加した日,演奏会直前にも関わらずいきなり,1stのトップサイドで弾くことになりました.その時は「大変や」と思っただけなのですが,よくよく考えてみると,他のオケで演奏会前に見学に行けば,「みんなの邪魔をしないように」後ろの方で弾かせるか,さらには「演奏会終わってから楽器もって来て」と言う風になっていたと思います.そう考えると「あれは画期的なことなんだ」と思っています.

フロイントの場合その日は「たまたま」演奏会の直前だっただけで,普段の活動と全く変わらないということなのでしょう.とはいえ,それでも演奏会は「成功」させたいわけで,そんなときにいきなり見学に来た人に合奏の中心に入って参加してもらうというフロイントという集団の「大きさ」を感じていたので,「PRポイントになるのでは?,つまりフロイントの「基本姿勢」(演奏会のための練習をしないとか)の表れなのでは?」と思ったわけです.

ちなみに2の「派閥がない」ですが,これはメーリングリストでJさんが触れられていたことに近いのかも知れませんが,メーリングリストなどでみなさんの投稿を読んですごく感じたこととして「自分と違う意見が存在することを素直に受け入れる」と言うことをみなさん自然にされている.そもそも派閥というのは「同じ考えの人たちがいる」からできるのではなく,「同じ考えの人たちが『自分たちの考えが正しい』と思う」からできるという側面があるように感じます.

ところがフロイントのメンバーは,「自分の考えは違うけど,そういう(他人の)考えがあってもいい」という立場でものを考えておられる.このことは,私にとってはものすごく新鮮でありました(これはふだんの生活においても大変プラスになっています).そう言う「他人の考えを尊重する」と言うことが「派閥」などというものを作り出さないのでしょう.また,このようなことは今のフロイントの音楽を創りだしている要素のひとつであるような気がします.

小西さんの音楽は「ありきたり」の音楽とはかなり違います.以前の私なら拒否反応を示していたかも知れません.少なくとも私が指揮をするなら全然別の音楽にするでしょう[編注1].それがフロイントでは(もちろん今の私も)「(小西さんの)そう言う(←失礼)音楽があってもいい」と,一度自分の中に取り込んで,とことんその音楽を磨こうとする.(結局それが「小西さんの音楽は面白い」につながっていくのですが)そう言う意志(大石さん流に言うと「オケの度量」)の固まりが小西さんの「指示」に対する感度の良さにつながっているような気がしています.

そして,「小西さんの音楽を創ろう」とするメンバーのモチベーションの高さは,(音楽に対して)中途半端な気持ちで参加できない雰囲気を作りだしていると思っていますし,メンバーの「モチベーション」と小西さんの「力量」の相乗効果(つねづね私が思っている「オケが指揮者を育てると言う側面があってもいい」と言う部分につながります)がフロイントの音楽の「質」を作り出していると思っています.

また,「自分と違う意見が存在することを素直に受け入れる」ということは,団の運営にも反映されていると感じます.メンバーのうち何人かの方は,マネージャーなどの仕事をされているのですが,「その人たちの進め方を他の人が尊重する」ということ,また「運営を進める人も皆の意見を尊重しようとする(結果的に反映できなくても)」と言う姿勢が,今のフロイントが「スムーズに」動いている(ように私には感じるのです)要因になっていると感じます.

さらには「来るものは拒まず,去るものは追わず」の精神は,「フロイントのスタイルに合わない(合わなくなった)人を無理矢理引き留める」ことをしないため,「派閥」ができにくい体質を作り出しているのではないでしょうか.

こうやってだらだら書きましたが(相変わらず脈略がないな,すみません),みなさんがあちこちで書かれた文章を復唱しただけみたいになってしました.でもかなりフロイントの「形」ができてから参加したがゆえに上に書いたことを参加した当初からはっきりと強く意識できたと思っていますし,それが今フロイントに参加している動機になっているのは間違いありません.

[1999.10]

[編注1] 西内さんはご出身高校OB吹奏楽団の指揮者でもあります。

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